男気アート


わえ煙草にふんどし姿! “厳寒”態勢のベルリンに挑む厳つい立ち姿で何やら緑の物体を操るこの男性は、アーティストの久保田弘成さん。空中に浮かんで回っているのはなんと自動車です。旧東ドイツの大衆車トラバントが選ばれているところに、この作品の意図がグルグル。降ろせば普通にまた乗れそうですが・・・今や車体の中心部には鉄心がぶすっと刺さっていて、華麗にブンブンブブブンと回るばかり。大きさと勢いとアトモスフィアが、まるでお祭りの神輿をたったひとりで担いでいるように見えてくる不思議で力強いパフォーマンスです。
 私は初めて拝見いたしまして、とにかく作品の大きさと久保田さんの威勢良いお姿に圧倒されまくりでしたが、大音量で流れる北島三郎と作品の動きで変化し続ける照明の光とによって、徐々に周囲にはそこはかとない哀愁が漂い始め・・・芯に届く力強さを感じました。パフォーマンス終了の際は拍手喝采。そういえば見入っていてしばらく寒さも忘れていたかも。ゲイジツカはインドア派だろうと勝手に思い込んでいた脳がぐらぐら揺さぶられた哀愁の男気アートでした。普段は「日本人は写真ばっかり撮ってる」と鼻で笑うドイツ人だって、思わずフラッシュたきまくりでしたもの。

“生きろ”と書き続ける鈴木貴博さんと共演の“Life Project”<*1>。ライブで「生キロヘアー」になっていく久保田さん。写真を撮りまくる日本人に感覚を狂わされて?ドイツ人も混じって、秋葉原もびっくりの大撮影会に

ただでさえ寒いベルリンにふんどし姿。なのに、さらに水浴びで気合いを注入する久保田さん。今月末にはさらに寒いアイルランドへお引っ越しなさるのだとか。体はったはりますなぁ・・・
<*1> “Life Project”・・・ベルリンのTheaterhaus Mitteにて、2008年4月10日〜6月28日まで開催されています。