でも、考えている


向かいさんの扉に貼ってあるカラフルでちょっとエキゾチックな柄のシール。どこかの国の旗みたいだなとは思っていたけど、急に同じ図柄をよく見かけるようになって、“チベットの国旗”だったことに気がつきました。  私が引っ越してくる前からこのシールは貼ってあったようなので、住人のお姉さんは随分と熱心にチベットの人権侵害について考えていたのかな。
 ここ最近、ベルリンでは個人宅に「FREE TIBET」の垂れ幕がはためいているのをよく見かけるようになりました。中国製品の不買運動やデモの呼びかけも行われています。もともと、ドイツ人の61%がダライ・ラマを崇拝という2006年の調査結果<*1>があるなど、ドイツでは特にチベットの問題とダライ・ラマに関して興味がある人が多い様子。今回のチベット騒乱で関心はさらに高まっているので、今なら61%よりもっと上昇しているんじゃないかと思います。

 先日、日本からベルリンに来たばかりの人たちと話すことがあって、その時に「日本ではあんまりチベット騒乱に関する報道がされていない」と聞きました。「ドイツで見かけるようなダライ・ラマが表紙になっている雑誌や激しい特集なども見かけない」と。それを聞いて「え!ダライ・ラマが日本に立ち寄ってたのに?!」と驚きましたが、同時に(やっぱりなぁ)という気持ちを感じました。というのも、こちらに来てから日本の報道を見るにつけ、ニュースの内容が国内のことばかりなのが気になっていたからです。内容も同じようなものが多いし・・・。そういえば、日本に居て1日テレビをつけていたら朝・昼・夜と同じニュースを3回みることになっていたなぁと思い出しました。1日でいろんなことがあるはずなのに朝みたニュースを夜にも見る。そんなことも何も不思議に思ってなかったけど、海外で暮らすようになって日本のメディアの報道の仕方が気になるようになりました。例えば、ひとつ事件が起こると同じような事件ばかりが連続するんだなぁって思ってたけど、それはそんな取り上げ方しかしていないからなのだな。とか。そんなことにも気づいてなかったなぁ。

 日本人の私は、玄関を開けてお向かいの扉にあるシールをみたり、チベット騒乱を受けて反応をしているベルリンの街を眺める度、自然と日本のことが気になります。
 ダライ・ラマ、そしてチベット問題に過度な反応を示すことには違和感がありますが、私がチベット騒乱に関する報道をきっかけとして日本のメディアや政治のことを気にするのと、ドイツ人がダライ・ラマチベット問題を通して自分たちの平和をみていることには何にも変わりないのかもしれません。ドイツには確かに考えている人たちが居て、(グラフィティでさえ)反応を示している。ひしひしとそう感じます。
インターネットのニュースではわからない、生活のなかの日本の反応はどうですか?みんなの最近の気になったことはなんですか?聞いてみたいです。

<*1> ドイツ人の61%がダライ・ラマを崇拝・・・Institute Forsa調べとしてダライ・ラマ法王日本代表部事務所のサイトに掲載