歌舞伎の真似がぁあ、止められませぬぅう〜


をとると涙もろくなると言いますが・・・いろんな経験を積んで、感情の伝達が深いところにぱっと到達するようになるからでしょうか。私もまだ若輩ながら(これは歳をとったから、感じ方が変わったのだわなぁ〜)と思うことが時々あります。例えば、20代後半になってゴダール映画に共感できるようになった時。以前はさっぱりだった内容が突如一転、主人公のキモチがぐさぐさ心に刺さってくるようになっていた驚き。(あら、いつの間にか・・・大人になってた)と自分で思ったものです。
 今回、ベルリン行脚中の中村座の歌舞伎を観た時も然り。「夏祭浪速鑑」という大阪の人たちを描いた、いわゆる“世話物”だったこともあって、話の展開や登場人物にすっかり感情移入。一緒に笑い、怒り、悔しがり、泣き・・・はっ!なんだかこのテンションは・・・おばちゃん・・・

 中村座と言えば、海外公演をたくさんやっているイメージがあったのですが、今回のヨーロッパ(初)で3回目の海外公演なのだとか。<*1>とにかく役者さんが舞台だけじゃなくて縦横無尽に場内を走り回るのが面白かったです。ときどきドイツ語も飛び出していましたが、基本的に台詞は大阪弁。ドイツ人は同時通訳のイヤホンを付けて観ていました(私は関西人なので台詞も全部分かりましたが、日本人でも関西圏じゃない人には分かりにくかっただろうなぁ)。
 本物の水、火を使った演出は迫力があったし、艶っぽい七之助さんの琴浦にはうっとり。気概たっぷり勘太郎さんのお辰には思わずほろり(のっぺり磯之丞と二役でびっくり!)。そして、汗だくで演じきった勘三郎さんはやっぱりすごい。クライマックス、追われる団七を演じて梯子に乗って客席を縦断する時、間近になる観客の視線もぐぅううっとたっぷりに見返して、決して眼をそらさないところにゾクッとしました。
 海外公演なので“掛け声”がなかったのがちょっと残念だけど、最後はもう拍手の嵐。場内全員がスタンディングオベーションでした!写真が撮れなくて残念ですが、日本でも同じ舞台がみれるようなので興味ある方はぜひ!すごく面白いです!

<*1> ベルリン公演・・・2008年5月15日−21日まで。世界文化の家にて。私は幸運にも、エキストラ出演している友人から招待してもらえました(ありがとう!)が、チケットまだあるみたい。ベルリンの後は、演劇が盛んなルーマニアのシビウで公演があるそうです。