光のなかの影


思議!な人にベルリンでいっぱい出会ったので、だいぶ脳が“常識ってなんだっけ状態”になってきている私ですが・・・このおじいさんを初めて見た時は、心底たまげました。えー。それ、ありなの?と。だってこの方、どこで絵を描いているかというと、ベルリンの目抜き通りクーダム(日本でいうところの銀座かなぁ)の路上で描いているんです。U1のUhland str.を出た辺り。BMWの前・・・。
 毎日いるわけじゃないけど、けっこう寒かった4月ぐらいから、ずっと同じ場所に大きな紙を広げて歩道を占拠してます。描いてる絵は2週間に一枚ぐらいのペースで変わっています。売れているのかなぁ・・・っていうか、なんでそんな長い間、誰にも咎められずにここに居続けられるんだろう。一体どこから来て、そしてどこへ行くんだろう・・・。

仕事に行く途中に見かけるので、ちょこちょこ描いてる絵をチェックしているものの話しかけてはいません。写真を撮った時に目がちょっと合ったような気がしたけど・・・そっとしておきました。いつもわりとシュールな絵を描いています。お金置いてっての“DANKE”が左脇でアピール。

 とはいえ、路上でパフォーマンスをしている人たちの姿は、まぁ、ベルリンではよくある光景。いい風に言うと自由なかんじ。でも、観光地でもない日常の生活に突然入ってくる“押し売り”な人たちもいっぱ居て、私はちょっとそういうの苦手です。
 例えば、カフェやレストランに入ってきてお花を持って各テーブルを回る人。自作のカードや本を売りにくる人。電車に楽器を持って入って来てギターやトランペットを演奏する人。なかに、スピーカーを入れたリュックを背おって乗ってきて歌い出したおばさんがいて、それにはちょっと感心したけど・・・たまたま手に入れただけで弾き方が分かってないらしい楽器をプーとかピーとか、とにかく鳴らしたからお金をくださいっていう人には・・・うぅうう、そりゃないよーと思う。交換するものを何も持たず、名前と口上(分からないけど、身の上話?)だけを述べて突如集金を始めた青年が居た時は、さすがに怖いなぁと思いました。
 先のおじいさんはアーティスト活動の一環としての表現だと言えると思いますが、“押し売り”な人たちは、必ずしもそのお金の稼ぎ方をしなければならない理由がみえてこない人も多い。ですが、これにはドイツの高い失業率などが影響しているのかと思うと、ある意味そうやってでもお金を稼ごうという人たちは逞しいのかもしれません。実際、そういうことに対するコントロールは緩すぎるし・・・
 ここにひとつ、海外からの移住者が多く魅力的なベルリン!の影があると思います。光のなかに影なんかなさそうなのに。違和感のある、現実です。<*1>

<*1> 先のおじいさんは〜末文までは、6/26に一部の内容を修正しました